ブロックチェーンエコシステムの聖杯
今日はリフトオフ週間の3日目をお伝えします。 Ethereum共同創業者のJoe Lubin氏、FilecoinプロダクトリードのPooja Shah氏、InfuraシニアエンジニアのTim Myers氏、Aave CEOのStani Kulechov氏、Ren CTOのLoong Wang氏など、Web3エコシステム全体の開発者から話を聞きました。 本日の「Build on Filecoin」のハイライトと、明日に向けてのスナップショットをご紹介します。
~Web2との関係の変化~
メインネットスタートは、ブロックチェーン開発者の頭の中でWeb3とWeb2の関係に火をつけました。Ren社のCTOであるLoong Wang氏は、Web2のアプリをWeb3上で完全に複製し、並列でありながら同一のWeb3の世界を作成するという、暗号化の初期の頃のミーム(訳注:ネット通じて拡散する思考・コンセプト等)を説明し、それをうまく要約しています。そのビジョンは、ストレージと、トランザクションの膨大なコストという2つの主要問題のためにまだ実現されていません。メインネットの立ち上げは、ストレージのコストという問題の半分を解決しました。Wang氏は、トランザクションコストに対処する他のレイヤー1とレイヤー2のソリューションが残りの半分の問題を解決し、Web2の世界を複製し、高速されたブロックチェーンエコシステムに到達するだろうと予測しました。
Ethereumの共同創設者であるLubin氏とEthereumとFilecoinの関係について議論した際、Filecoinの創設者であるJuan Benet氏も同様の意見を述べています。彼は、Ethereumの開発者がWeb2指向のモデルに頼らなくても、パワーと暗号性を備えた長期ストレージに頼ることができるようになったと指摘しています。Filecoinは、より自動化されたプロセスでFilecoinからストレージを貸し借りする契約をEthereum上に書くことができるようになっています。Lubin氏は、「ブロックチェーンエコシステムの聖杯(訳注:一番大事な事)は、完全に分散化されたアプリケーションを構築することだ」と強調しました。例えば、中央集権化されたWeb2に保存されたデータに依存しない事です。そこに到達するにはどうすればよいか、つまりWeb2を複製したWeb3の世界に到達するにはどうすればよいかを考えるとき、TextileのCEOであるAndrew Hill氏からアドバイスを受けることができるでしょう。
~Ethereumとの付き合い方~
本日のリフトオフイベントでは、Ethereumのエコシステム全体から著名な開発者が参加し、Filecoinのリーダーたちと一緒にWeb3の将来について議論しました。 Ethereumコミュニティは、Filecoinがdappsとエコシステム全体にもたらす機能を長い間待ち望んでいたということが、明確に示されました。
Ethereumは、DeFiのような堅牢なアプリケーションや、ゲームやNFT(訳注:Non-fungible token、代替不可能なトークン)のような新興のアプリケーションを構築するために、開発者、エバンジェリスト、起業家の途方もないエコシステムを引き寄せてきました。ConsenSys Codefiのコービン・ペイジ氏は、Ethereumの状態が「継ぎ目で破綻している」と指摘し、FilecoinがEthereumにもたらす有用性について説明しました。また、同氏はFilecoinは大規模なデータセットが保管してあり、必要なときにアクセスできるネットワークを提供できるとも述べました。RenのCTOであるLoong Wang氏は、この関係の価値について、別の視点で説明しています。数週間のうちに、RenはFILをERC-20としてラッピングし、Ethereum上でDeFiエコシステムが完全に機能すること計画があります。流動性を提供することは、AaveのCEOであるStani Kulechov氏が言うように、プロトコルのにとって必要不可欠であり、FILをDeFiの革新的な世界に接続することは、Filecoinにとって大きな一歩となります。Filecoinの立ち上げに対するEthereumコミュニティの態度を要約すると、Joe Lubin氏は「BitcoinとEthereumはヘビー級プロトコルのレイヤー1であり、我々が分散型プロトコルのエコシステムを構築していく中で、Filecoinはそれらのヘビー級プロトコルの1つとして急速にその地位を獲得していくだろうと私は主張したい」と強調しました。
~開発者ツール~
開発者たちから、Filecoinエコシステムの開発を迅速に進めるために構築しているツールや使用しているツールについて話がありました。Joe Lubin氏はMetaMask Snapsについて話しました。MetaMaskと他のプロトコルを接続するためのAPIを提供する最近の機能です。チームは近々Filecoin Snapをロールアウトする予定です。Lubin氏はまた、Codefi Activate社のFilecoin StorageウェブアプリとAPIを紹介し、Filecoinネットワーク上のストレージの価格比較を簡単かつ透明にすることを強調しました。
Infura社のシニアエンジニアTim Myers氏は、開発者の参加を容易にするためのInfura社のFilecoinシステムAPIを紹介し、Jordan Ellis氏は、Web3APIについて紹介しました。Artefactual SystemsのPeter Vangarderen氏はPygateについて語りました。
1日を通してメッセージは明確でした。開発者は、Filecoin上で必要なものを構築するためのツールやサポートをどんどん見つけていくでしょう。
リフトオフに参加してみませんか?
今週は、5日間の講演、パネル、ワークショップ、デモ、コミュニティイベントが開催されます。 10月19日から23日まで、先週の行われたメインネットスタートを祝いながら、Web3エコシステム全体のリーダーたちの話に耳を傾けてみませんか?
明日10月22日はリフトオフウィークの4日目で、その間にFilecoinでのStoringに焦点を当てます。アジェンダのプレビューです。
13:00pm(PDT):Internet Archive and Open LibraryのBrewster Kahle氏とFilecoinの創設者Juan Benet氏との対談
1:35pm(PDT):Matt Ober氏とKyle Tut氏が、PinataがFilecoinを使ってどのようにユーザーにデータの復元力を簡単に確保するため新しい方法についてのトークとデモを行います。
14:30pm(PDT):OpenBazaarのChris Pacia氏による”5mbはどのようにして構築されたか”
3:05pm(PDT):”Filecoin for Video”をLivepeer社のDoug Petkanics氏とVoodfy社のLeandro Barbosa氏とのミートアップ
3:40pm(PDT): Protocol LabsのMikeal Rogers氏”Building Data Structures for Filecoin”
4:00pm(PDT):”Decentralizing the People’s Branch Project”をatomsのAntoine McGrath氏とUCバークレーのポスドク研究員Bill Marczak氏が紹介
4:20pm(PDT):”Deep Dive Into Data Storage On Filecoin”をCarbon Five社のシニアデベロッパーであるHannah Howard氏が講演
4:55pm(PDT):Viraj Anchan氏による”Filecoin Plus: Incentivize Useful Storage on Filecoin”
5:15pm(PDT):”ストレージから正義へ” スタンフォード・ブロックチェーン研究センターのジョナサン・ドタン氏が講演します。人権侵害や戦争犯罪、大量虐殺の証言など、最も機密性の高いデジタル記録の信頼性を確立するために、Filecoinのユニークな暗号証明がどのように活用されているかを学びましょう。
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